第52章 引っ越さないといけない

辻本雨妃は踵を返して寝室へ戻り、手早く身支度を整えると、ラフな服に着替えた。

支度を終えて出てみれば、透はもうきちんと着替えを済ませ、玄関で靴を履き替えているところだった。

母子が出かけようとした、そのタイミングで。後藤暁沙がコーヒーを手に玄関へ現れた。

「ねえお姉ちゃん。本当に透を遊園地に連れていくの?」

雨妃は淡く相槌を打ち、しゃがみ込んで透の襟元を整えてやる。

暁沙はくすりと笑い、壁にもたれながら、意味ありげに透の左手へ視線を落とした。

「余計なお世話かもしれないけどさ。半月も養生したのに、透の手、まだ完璧には治ってないでしょ。今、遊園地に連れていって……万が一またぶつけた...

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