第58章 どうしてそんな言い方をするのか

書斎の扉がそっと閉まり、リビングにいる後藤暁沙の――あの悔しげな視線が遮断された。

立花時安はデスクの奥へ回り込み、そのまま腰を下ろす。ネクタイを指で緩めると、ようやく肩の力が抜けた。

「……戻るのが、ほんと絶妙なタイミングだな」

彼は辻本雨妃を見上げ、どこか困ったように言う。

雨妃はくすりと笑い、向かいの椅子に座った。そして浅井景辰から受け取った書類を、そのまま時安へ差し出す。

「なに、これ?」

「今日、浅井景辰が会社に来たの」

書類を受け取る手が、ぴたりと止まる。時安の眉がわずかに寄った。

「……あいつが? お前に何の用だ」

雨妃は答えず、顎で書類を示すだけ。

時安は...

ログインして続きを読む