第88章 あんたは本当に笑いものだね

透の輸血は滞りなく進み、深夜には各種バイタルも正常値へ戻っていた。

医師も「しばらく安静にしていれば、完治しますよ」と言っている。

辻本雨妃はベッドの傍を離れず、透の小さな頬に少しずつ血の気が戻っていくのを見て、ようやく胸の奥の力を抜いた。

浅井景辰も帰らなかった。スマホはひっきりなしに鳴っているのに、結局、病室で一晩付き添った。

雨妃が「先に戻ってください」と切り出そうとした、その時。

立花時安から電話が入る。

雨妃は思い詰めた顔の浅井景辰をちらりと見て眉をひそめ、立ち上がって窓際へ移動し、通話ボタンを押した。

「雨妃、透はどうだ?」

立花時安の声には、はっきりと疲労と不安...

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