第89章 誰にも左右できない地位

話していたのは曾我家の令嬢・曾我蛍だった。真紅のドレスを纏い、口元には嘲るような笑みが浮かんでいる。

その隣には、同じく名門の令嬢・安部唯。少し離れた位置で腕を組み、面白がるように成り行きを眺めていた。

「ほんとよね。まだ婚約パーティーの最中なのに、婚約者がいなくなるなんて。こんなの外に漏れたら、どこに顔を出すつもり?」

日野遥の顔色は最悪だった。拳をぎゅっと握りしめ、目には怨毒が滲む。

「今日は私と景辰の婚約の日よ。それに、私はもう景辰の子を妊娠してる。私たちはいずれ結婚するの!」

曾我蛍がくつくつと笑った。

「へえ? それなら、どうしてその婚約者さまは「元妻」について行ったの...

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