第90章 本当に彼が押したのか

三人は浅井景辰の言葉に一蹴され、それ以上は何も言えなくなった。

彼女たちの目にあるのは体面だけ。だが彼の目にあるのは、会社の先行きだった。

浅井景辰は三人を淡々と一瞥し、最後に日野遥へ視線を落とす。

「それで。まだ騒ぐつもりか?」

日野遥は悔しさを滲ませながらも、顔いっぱいに委屈を貼りつけ、小さな声でぶつぶつと言った。

「そうは言っても……あれ、辻本雨妃の息子でしょう。あなたとは関係ないじゃない。両家には他にも大人がたくさんいるのに、わざわざあなたが自分で母子を病院まで送る必要ある? どうしても心配なら、江口准に付き添わせればいいのに」

「人の命の話だ。少しは落ち着け」

浅井景...

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