第12章
富士山人類館に戻った時、私の心にはもう何の感慨も湧かなかった。
見慣れた長い廊下を歩く。両脇のスクリーンには、私たち「国宝級保護生物」の日常風景が映し出されていた。そこに映る私たちは、笑顔は強張り、動きは機械的で、まるで操り人形のようだった。
生存カプセル内の光景は、想像以上に酷いものだった。丸石亮、かつてクラスで最も活力に満ちていた委員長は、今や特製の栄養液の中にぐったりと横たわり、その皮膚は透き通りそうなほど青白かった。彼の目は半ば開かれているが、焦点は合っておらず、もはや目の前のものすら見えていないようだった。私が近づくと、彼はかろうじて首を動かし、弱々しいうめき声を漏らした...
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チャプター
1. 第1章
2. 第2章
3. 第3章
4. 第4章
5. 第5章
6. 第6章
7. 第7章
8. 第8章
9. 第9章
10. 第10章
11. 第11章
12. 第12章
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