第18章

「伊藤先生も、うちの子の担任の先生なんです」

藤堂詩織はスマートフォンを取り出し、河合麗のスマートフォンの番号と見比べ、念入りに確認してから、連絡先リストから仕事用の番号を呼び出した。「これは彼女のプライベートな番号ですね。普段、仕事中は私用の携帯は持ち歩かないんです。仕事用の携帯なら知っていますから、私が電話して聞いてみます」

電話はすぐにつながった。受話器の向こうから伊藤梅の声が聞こえる。「もしもし、藤堂さん?」

「伊藤先生、こんにちは」藤堂詩織は河合麗の感謝に満ちた視線を避けるように身をかわした。「校門の前に河合さんという方がお子さんを連れて見学に来られていて、先生とお約束している...

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