第47章

「しっかり休んで、冷たいものは飲まないで、時間通りに薬を飲むんだよ。何かあったらいつでも電話して」

これまで彼女に対して言葉少なだった結城時也が、今はいくらかの気遣いを見せ、その冷ややかな声色さえも和らいでいる。

それは、藤堂詩織が一度も与えられたことのないものだった。

胸の奥がじんと酸っぱくなるのを感じ、彼女は玄関に立ったまま足を動かせずにいた。結城時也が白川詩帆にかける優しい気遣いの言葉が、耳に入ってくる。

しかし、白川詩帆は本当に和のことを心配しているのだろうか。彼女は少し疑念を抱いた。

二人の電話が終わるのを待ってから、藤堂詩織は深く息を吸い込み、ドアを開けて中に入った。

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