第55章

初のチームミーティングは、異様とも言える雰囲気に包まれていた。

楕円形の会議テーブルには七、八人の男たちが腰掛けている。二十代から四十代まで年齢は様々だが、全員が技術者特有の頑固な空気をまとっていた。

佐伯俊彰は藤堂詩織の新しい身分を簡単に紹介すると、椅子の背にもたれかかり、腕を組んだ。あとは知らんぷりという態度を決め込み、舞台のすべてを藤堂詩織に明け渡したのだ。

「認知障害の早期診断」に関するプロジェクト案が、スクリーンに投影されている。

このプロジェクトの責任者である技術部長の鈴木明は、四十代前半。髪はヘアジェルで一分の隙もなく整えられ、レンズの奥の視線は値踏みするように、藤堂詩織...

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