第70章

扉の前に立っていたのは、結城時也と白川詩帆だった。

二人は腕を組み、親密な様子で、結城時也の顔には相変わらず優しい笑みが浮かんでいる。

藤堂詩織は一瞬心臓が跳ねたが、すぐに冷静な表情を取り戻した。「どなたにご用でしょうか」

結城時也の眼差しが途端に冷たくなり、冷淡に言い放った。「金田教授をお訪ねしに来ました」

藤堂詩織は二人を家の中に招き入れ、丁寧にお茶を淹れた。

白川詩帆は、彼女が手慣れた様子で茶葉と湯呑みを見つけ、まるで家の主人のように振る舞うのを見て、胸が締め付けられるのを感じた。

隣に立つ結城時也の顔色が少し沈んでいるのに気づくと、彼女は視線を軽く巡らせ、にっこりと微笑んだ...

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