第10章

「どうして、あなたがここにいるの?」

笹谷幽々子は知らせを聞いた瞬間、信じられなかった。

「あなた、だって――」

言いかけた言葉が、喉で途切れる。

水宮雪音は、その顔に浮かんだ動揺を一瞬で捉えた。

「私が何? ……ふふ。そんなに驚いた?」

さっきまでの柔らかさをかなぐり捨て、雪音は一語一語に圧を乗せる。

「まさか笹谷幽々子さん、誰にも言えない秘密でも抱えてるんですか」

探りを入れた途端、幽々子の目がわずかに泳いだ。――やましい。そう確信する。

「それとも、見られたら困ることでもした? 私にバレるのが怖いとか」

無意識に、雪音は「江原奥さん」とは呼ばない。

「でたらめ言わ...

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