第104章

笹谷幽々子は唇をきゅっと結び、大きな瞳をぱちぱちさせた。さっきまで泣いていたせいで目尻が赤く、見ているだけで胸がきゅっとなる。

水宮雪音はそれを見て、慌てて江原翼との関係を否定する。

『違うよ。そんなの、考えすぎ』

江原翼は、水宮雪音が淡々とそう言い切るのを見て、胸の奥がざらついた。

その言葉を聞いた笹谷幽々子は、ふっと口元をゆるめる。

『翼さん……アヤメ姉の言うとおりなの?』

江原翼は言葉を失い、黙ったまま彼女を見つめた。

『笹谷幽々子。あんまり考えすぎるな』

はっきり肯定したわけじゃない。けれど、その一言だけで笹谷幽々子の胸は浮き立った。

水宮雪音は何も言わず、テーブル...

ログインして続きを読む