第107章

何度もかけ直して、ようやく繋がった。

江原翼は煙草を指に挟んだまま、少しかすれた声で言う。

『水宮雪音。黙っていなくなるの、やめられないのか』

――五年前と同じだ。

彼の世界から、何の前触れもなく消える。

水宮雪音は薄く笑った。今さら、気にするのだろうか。

『あなたに関係ある?』

冷えた問いかけに、江原翼の顔色が落ちる。彼女の言葉には、喉を刺すような棘があった。吸い込んだ煙が胸に引っかかり、江原翼は堪えきれず激しく咳き込む。

「……っ、ごほっ……!」

その音を聞いた瞬間、水宮雪音の眉がわずかに動いた。

『……煙草、吸ってるの?』

男は重たく短く返す。

『……ああ』

...

ログインして続きを読む