第108章

江原翼はそれを聞くと、スマホをテーブルの上に置いた。

笹谷幽々子の視線がすっと落ちる。画面に踊る大きな見出しを見て、彼女は何気ない顔のまま、心の中にそっと刻みつけた。

江原翼がこちらへ歩いてくる気配を感じた瞬間、幽々子はぱっと視線を引っ込める。

『ありがとうございます、翼さん』

笹谷幽々子は水の入ったコップを受け取り、にこりと目尻をゆるめた。愛想のよさが、やけに板についている。

江原翼は軽くうなずいただけで、またソファに腰を下ろし、配信を見続けた。

幽々子は隙を見て、その配信を検索する。

参加者は200人以上。その一覧の中に「穹」の名を見つけた瞬間、胸の奥がすとんと沈んだ。

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