第11章
水宮雪音は階上から、笹谷幽々子の一人芝居を見下ろしていた。
同じ筋書きなら、五年前に何度も見ている。
――やっぱり、ね。
案の定、いつの間にか江原翼が玄関口に立っていた。差し込む光の中で、階段の踊り場で起きていることを一部始終、見届けている。
「……何をしてる」
江原翼の一言が、室内に漂う薄気味悪い空気を割った。
笹谷幽々子は、今さら彼が帰ってきたことに気づいたかのように、涙をさらに溢れさせる。
それでも、上品ぶった顔で床から起き上がろうとし――
わざとらしい動作を何度も繰り返した末、
「……っ、いった」
と小さく息を漏らした。
次はきっと、足をひねったと言って泣きつく...
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