第13章

江原翼は眉をひそめた。

「前は年末年始とか、節目の時期だったろ。T市にいるのは君ひとりだった」

笹谷幽々子の顔色が、瞬く間に変わる。

江原翼の言葉には、拒絶がはっきり滲んでいた。

「もう遅い。片づけが終わったら、さっさと飯でも食え。手に負えないことがあれば影山に連絡しろ」

笹谷幽々子が何か言うより早く、江原翼は大股で去っていった。

遠ざかっていく背中を睨みつけ、笹谷幽々子は堪えきれず声を荒らげる。次の瞬間、机の上のものを手当たり次第に床へ薙ぎ払った。

がしゃん、ばさっ。

「くそ、くそ、くそっ!」

「五年よ……丸五年! どうして、どうして私はまだ江原家の門をくぐれてないの!」...

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