第17章

「水宮雪音!」

遠ざかっていく背中に、江原翼が声を張った。

だが、その聞き慣れた声が届いた途端――水宮雪音の足取りは、いっそう早くなる。

江原翼は大股で詰め寄り、伸ばした手で彼女の手首をがっちり掴んだ。

「来い。祖父が、お前に会いたい」

「……お祖父さん」

その二文字を聞いた瞬間、水宮雪音の全身が逆立つ。

T市に戻ると決めた時点で、昔の人間と再会する覚悟はしてきた。

それでも――江原家の祖父だけは、どう向き合えばいいのか分からなかった。

「怖いのか?」

水宮雪音の反応を見て、江原翼は口元を歪める。嘲るような笑み。

「お前の胸を割って、中に心臓が入ってるのか見てみたいくら...

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