第十九章

「……俺のこと、知ってるんですか?」

竹浜慎也は眉をひそめた。相手の顔に、覚えがない。

水宮雪音はふっと笑い、手を差し出す。

「竹浜先輩、はじめまして。まず自己紹介します。私はアヤメ。私たち、同じ師匠の門下です」

「アヤメ……?」

竹浜慎也がその名を口の中で転がした、次の瞬間――瞳がぱっと明るくなる。

「小師妹か!」

「ごめんなさい。ずっとお会いする時間がなくて。まさか、こんなところで再会するなんて」

水宮雪音は小さく首を振った。

「先輩はずっと『大きな仕事』をしてきた人です。先生も言ってました。あなたみたいに現場に根を張って、誰かのために地道にやれる人は貴重だって」

竹...

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