第31章

『ぷっ……』

階段の踊り場から、こらえきれないような笑い声が漏れた。張りつめたホールの沈黙が、そこでふっと割れる。

江原翼が目を上げると、手すりにぶら下がるようにして、二人のちびっ子がこちらへ首を伸ばしていた。

穹は鼻にガーゼを詰めていて、白い端がちょこんと見えている。

お姫様みたいだった柔らかな巻き髪も、雑にひとつに結ばれていた。大泣きしたのだろう、頬には涙の跡がくっきり残っている。

痛々しい見た目のくせに――本人はやけに楽しそうに笑っていた。

『えへへ、オジサンも叩かれるんだね。お兄ちゃんも叩かれるけど、ママはあんな太い棒は使わないよ』

『穹、叩かれるのは自慢じゃない。外で...

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