第35章

『ちょ、待って……今、あれ見えたんだけど!』

近くのボックス席がオンリーの声に引き寄せられた。中の連中が顔を出した瞬間、ちょうど水宮雪音と目が合う。

男は隣の友人・鈴村平の肩をバシバシ叩きながら、興奮気味に言った。

『ほらほら、見てみろって! あの体つき……翼くんの家に前いた、あの人に似てないか?』

『どれ?』

隣の男も釣られて顔を上げ、友人が指す先を探す。

だが、いくら見回してもそれらしい人物は見当たらない。

『成俊、見えないけど。見間違いじゃないのか?』

鈴村平が思わず口を挟んだ。

『はあ? あり得ねぇだろ。俺、視力5.0なんだぞ。絶好調だし。ほら、斜め向かい――青いラ...

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