第45章

「江原様、到着しました」

車窓の景色が流れていく中、影山は車を滑らかに減速させ、月湾別荘の門前でぴたりと停めた。

この別荘に、江原翼はそう頻繁に足を運ばない。

以前、彼が気まぐれに投資した案件があった。責任者が礼として、別荘区の中でも中心の区画に一棟、彼のために部屋を確保したのだ。

水宮雪音はここへ来たことはない。けれど、話だけは知っている。

笹谷幽々子が海外から戻った直後、江原翼が彼女をここに住まわせた――そう聞いていたからだ。

胸が、見えない手でぎゅっと握り潰される。締めつけられるたび、細かな針が刺さるような痛みが広がっていく。

水宮雪音はリビングの中央に立ち、ゆっくりと室...

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