第51章

「七海おばさん、後ろに黒い車がいる……」

穹は窓枠にぺたりと張りつき、さっきから同じナンバーの黒い車をまた見つけて、思わず声を上げた。

七海はバックミラー越しに後方をちらりと確認する。

朝のラッシュど真ん中だ。黒い車なんて、両手の指じゃ数え切れないほど走っている。

だから七海は、穹の言葉を深刻には受け取らなかった。むしろ気になったのは、穹が小さな頭を窓の外へ突き出しかけていることだった。

「穹、戻って! 頭を外に出しちゃダメ。車が多いんだから、危ないでしょ」

自分の世界に沈んでいた悠人も、それを聞いた瞬間にぱっと手を伸ばし、妹を引き寄せる。

「穹、ちゃんと座って」

今朝、家を...

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