第58章
江原の老爺は眉間に皺を寄せ、隣に立つ福山へ問いかけた。
福山が小さく頷く。
それを見て老爺の顔に安堵の色が差したものの、水宮雪音の容体が気がかりで、視線は落ち着かないままだった。
――ふと。
連れていかれる二人の小さな背中に目が留まり、その場で硬直する。
(この顔……)
あの子は、江原翼をそのまま縮めたようだった。まるで同じ型から抜いたみたいに。
間違えようがない。
もし雪音の子が生きていたら――きっと、今頃これくらいの年齢のはず。
老爺は確信を宿した眼で、遠ざかっていく子どもたちを見据えた。
『さっきの二人、身元を洗え』
低い命令。年老いた顔には、重い緊張が刻まれてい...
ログインして続きを読む
チャプター
1. 第1章
2. 第2章
3. 第3章
4. 第4章
5. 第5章
6. 第6章
7. 第7章
8. 第8章
9. 第9章
10. 第10章
11. 第11章
12. 第12章
13. 第13章
14. 第14章
15. 第15章
16. 第16章
17. 第17章
18. 第18章
19. 第十九章
20. 第20章
21. 第21章
22. 第22章
23. 第23章
24. 第24章
25. 第25章
26. 第26章
27. 第27章
28. 第28章
29. 第29章
30. 第30章
31. 第31章
32. 第32章
33. 第33章
34. 第34章
35. 第35章
36. 第36章
37. 第37章
38. 第38章
39. 第39章
40. 第40章
41. 第41章
42. 第42章
43. 第43章
44. 第44章
45. 第45章
46. 第46章
47. 第47章
48. 第48章
49. 第49章
50. 第50章
51. 第51章
52. 第52章
53. 第53章
54. 第54章
55. 第55章
56. 第56章
57. 第57章
58. 第58章
59. 第59章
60. 第60章
縮小
拡大
