第73章

オンリーは状況を見るなり、すぐに悠人を支えて立たせた。『大丈夫?』

悠人は眉をひそめてから、首を横に振る。『平気』

だが水宮雪音は、その「平気」が嘘だとすぐに気づいた。さっと近づき、悠人のズボンの裾をまくり上げる。脛に擦り傷。大きくはないが、血がじわりと滲んで広がっていた。

雪音の目が、すっと翳る。苛立ちを押し殺したまま、水宮奏人を睨みつけた。

『パパ、この女がぼくを睨んだ!』

水宮奏人は怯えたように水宮徹人の背中へ隠れる。自分が悪いことをしたという自覚など、欠片もない顔だった。

水宮徹人は両手を擦り合わせ、へらへらと江原翼に媚びる。

『江原様、いつの間にお子さんが二人も……?...

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