第5章

 取材を受けて以来、私の立場は文字どおり天地がひっくり返った。

 コーヒーを手にしたまま、颯斗の通話を聞いていた。

 二時間前、貴美は名媛の薄皮を完全に引き裂いた。

「写真は? あのスラム女を社会的に殺す裸の写真! 今すぐ送れ!」

 貴美は金切り声で颯斗に迫った。

 颯斗はソファにもたれ、狂ったような婚約者を冷ややかに見据える。声には露骨な嫌悪がにじんでいた。

「もういい、貴美。撮ってない。今のおまえ、見苦しいぞ。そんな卑怯な手で勝とうとするほど、自分が負け犬だって言ってるようなものだ」

「私を負け犬呼ばわり?!」

 貴美は信じられないという顔で目を見開き――次の瞬間、乾いた...

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