第6章

「……うそでしょ。こんなの、下劣すぎない?」

 群衆の中で最初に沈黙を破ったのは佐々木だった。大げさに口元を押さえ、目を丸くする。

「大賞を取ったからって何? 中身は結局、上に這い上がるためなら他人の婚約者に手を出す女ってことでしょ」

「スラム上がりの女は違うわよねえ。身体でリソースを引っ張ってくるやり方、手慣れたもんだ」

 階段の上に立つ貴美が、わざとらしく顎を上げてこちらを見下ろす。

「ユカリ。独立した女を気取る、その薄っぺらい仮面……とうとう剥がれたわね。どう? 気分は」

 私はすぐに言い返さなかった。静かに視線を背後へ回す。

 颯斗が、広場へ駆け込んでくる。息を切らし、...

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