第8章

 この一年、私は右腕を医療用のシリコン包帯で吊ったままの状態を貫いていた。

 実を言うと、整形外科の医者は三か月も前に「骨折は完全に治っている」と告げていた。だが私は口止め料を弾み、「神経に軽度の損傷あり、長期にわたり重労働は避ける必要がある」という診断書を書かせたのだ。

 退屈な社交晩餐会を正々堂々と回避する口実になるだけじゃない。これは颯斗に対する、究極の服従テストでもあった。

 そしてそのテストでの颯斗の出来は、欠点のつけようがない。

 彼は藤原家の腐りきった不動産稼業から身を引き、資金も人脈も、すべて私の名義へと注ぎ込んだ。西海岸の投資会社を片っ端から回り、法務と監査の段取り...

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