第9章

二〇一七年十一月二十三日、朝

カーテンの隙間から、まばゆい朝日がキッチンに滑り込む。その光に導かれるように、私はベッドから勢いよく飛び起きた。かつてのように、焦燥や絶望に駆られて飛び起きることは、もうない。今回の私の動きは、まるで訓練された兵士のように淀みなく、確かな手順を踏んでいた。

「おばあちゃん!」私はキッチンに駆け込み、朝食の準備をしていたおばあちゃんに抱きついた。

「どうしたんだい、楓花」おばあちゃんは優しく私の背中を撫でてくれた。「なんだか強張っているようだけど」

おばあちゃんの優しい顔をじっと見つめると、複雑な感情が胸に込み上げてくる。おばあちゃんが生きている姿を...

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