第101章 歯には歯を

菅田美波は手を引っ込めると、指先を嫌悪するように裾でぬぐった。

わずかに身をかがめ、羽鳥俊輔の耳元へ。彼にしか届かない声量で、悪魔の囁きみたいに告げる。

「言い忘れてた。あんたが探してた、脚を治せる医者――それも私」

羽鳥俊輔の瞳孔が、ぎゅっと縮んだ。

底なしの絶望と恐怖が、眼底から溢れ出す。

アジトを吹き飛ばしたのも彼女。追い詰めて逃げ場を奪ったのも彼女。

命綱だと思って血眼で探していた医者まで――彼女。

たった一人に、完膚なきまでに転がされた。起き上がる余地すらない。

羽鳥俊輔は泥みたいに床へ崩れ落ち、全身がびくびくと痙攣する。

心の防壁が、音を立てて崩壊した。

その...

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