第102章 正骨

菅田美波は無表情のまま一歩前に出ると、細い指先を迷いなく大貴の右脚――腫れ上がった骨折部へ落とした。

麻酔など使わない。

その瞳が一瞬で研ぎ澄まされ、冷たく鋭くなる。

「――っ、ひゅ……!」

大貴が痛みに息を吸い込む。

自分が実験台にされるのでは、と身構えたその刹那。菅田美波の両手が、いきなり容赦なく力を入れた。

えぐるように悪辣で、残酷なほど強引。なのに、狂いがない。ミリ単位で正確だ。

借り、捻り、押し、揉み解す。

動きは淀みなく連なり、速すぎて目が追えない。

ぱきっ。

ぱきっ。

乾いた骨の音が医務室に反響した。

大貴は悲鳴を上げる暇すらなく、ぽかんと固まる。

震...

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