第106章 入学

同じ頃、W市――「常夜」グループ本社ビル。

最上階のエグゼクティブ会議室は、空気が鉛のように重かった。幹部たちは海外支社の財務危機について、顔色をうかがいながら報告を続けている。上座に座る菅田承吾は、氷のように冷えた表情のまま黙って聞いていた。

そのとき、テーブルに置かれた私用スマホが、ぶるりと震えた。

菅田承吾は視線だけ落として画面を一瞥する。

短く、命令口調のメッセージを読み取った瞬間――霜に覆われていた男の眼差しから、冷気がすっと引いた。代わりに浮かんだのは、呆れと、底なしの甘さが混じった笑み。

彼はその場で立ち上がる。長い指でスーツのボタンをゆっくり留め、低い声で言い捨てた...

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