第19章 菅田美波はいったい何者?

その、たった一言――それだけで、菅田承吾の胸に薄くかかっていた翳りは、春風みたいに一瞬で吹き飛んだ。

強張っていた口元が、気づかれないほどわずかにほどける。加藤浩史の魂の抜けた顔を見ていると、胸の奥に、ひそやかな愉悦がじわりと湧いた。

「これ、直ったわ」

菅田美波は組み上げた本体を、すっと加藤浩史のほうへ押しやり、続けてファイアフォックスへ言う。

「この先の保守とアップグレードは、直接この人とやり取りして」

「はい、菅田さん!」

ファイアフォックスは深々と頭を下げ、まるで見習いの小学生みたいにへりくだった。

菅田美波はそれ以上、何も言わない。くるりと踵を返すと、そのまま店の外へ...

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