第31章 出鼻をくじく

スクリーンが、瞬きほどの間に真っ黒へ沈んだ。

だが、ほんの0.5秒にも満たないその刹那。菅田美波はウェブカメラ越しに、ひとコマだけ映像を拾っていた。

――手入れの行き届いた、静かな贅沢の漂う書斎。背後には、壁一面の赤木の書架。

机に向かって座る、背筋の伸びた男。見えたのは、高級なシャツに包まれた広い肩と、机の縁に置かれた手だけだった。骨張った指の節が、妙にくっきりしている。

ただの一瞬。にもかかわらず、長く上に立ってきた者の落ち着きと威圧が、粗い画面越しにすら押し寄せた。

ネットの両端が、同時に息を止めたように静まり返る。

黒くなった画面を見つめ、菅田美波の瞳がわずかに陰る。

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