第44章 手さえあればできる

原野勇斗は視線を引き、口元に浮かべた弧には、どこか肩の荷が下りたような嘲りが混じっていた。

もう隣のテーブルの騒ぎには構わない。彼は両親へ向き直り、にこりと笑う。

「父さん、母さん。食べよう。関係ない連中に気分を乱されるの、馬鹿らしいだろ」

菅田美波の「伝説」も、たぶんここまでだ。

どれほど驚くような背景があろうと、大学入学共通テストという最も公平な鏡の前では、結局メッキが剥がれる。

20点配点の大問すら平気で白紙にする受験生に、未来なんてあるはずがない――そんなふうに、彼は思った。

隣席のひそひそ声は、菅田美波にも届いていた。だが彼女は、まぶたひとつ上げない。

代わりに加藤浩...

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