第48章 ホテルの騒ぎ

菅田美幸はさらに露骨だった。通りかかったウェイターを引き止めると、スマホを相手の手にねじ込む。自分では上品に決めたつもりのポーズを取り、顎で使うように命じた。

「ねえ、そこのあんた。そう、あんた! 写真撮って。私がきれいに見えるようにして。あと、後ろのロビーも全部入れて。いい?」

あまりに当然の振る舞いに、周囲の視線がいくつも刺さった。遠慮なく面白がる目。隠す気もない軽蔑の目。

菅田美波と加藤浩史は、少し離れてその後ろを歩いていた。まるで見えない壁が一枚あるみたいに、喧騒も虚飾も、自分たちの側へは入れない。

虚栄に溺れる母娘と、こちら側。まるで別の世界だ。

加藤浩史は眉をひそめ、露...

ログインして続きを読む