第7章 彼を救う

その手は殺気をまとい、急所へ一直線に伸びてきた。

菅田美波の瞳孔がきゅっと縮む。刹那、身体の本能が反撃を叫んだ。この場で相手を殺す手段なら、いくらでもある。

だが理性が、その殺意をねじ伏せた。

目の前にいるのは菅田承吾――この身体の持ち主の記憶の中で、数少ない「温もり」だった人間だ。

それに今の器では、高強度の戦闘に耐えられない。

菅田美波はちょうどいい怯えを顔に貼り付けた。腰が抜けたみたいに足元が「ふにゃ」と崩れ、肥えた身体がみっともなく横へよろめく。

慌てふためいた一歩――そう見えるその動きが、紙一重で菅田承吾の致命の一撃を外した。

空を掴んだ菅田承吾は、失血で弱った身体の...

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