第73章 夜凰の気配

だが、視線が菅田承吾の底の見えない双眸に触れた瞬間、男の声は勝手に尻すぼみになった。

菅田承吾はただ静かにそこに立っている。言葉もない。余計な動きすらない。

それなのに、上に立つ者だけが纏う、侵すことを許さない威圧が――見えない山のように、容赦なくその場の全員の胸を押し潰していた。

阿鼻叫喚の修羅場で磨かれた冷酷な気配。

刃の上で生きてきた連中ですら、本能で距離を取る類のものだ。

先頭の警備がごくりと唾を呑む。背中に、理由のない冷汗が滲んだ。

菅田承吾には手を出せない。

まして、その傍らにいる菅田美波に触れるなど――考えるだけで喉が詰まる。

警備は手を振り、部下に二人を避けさ...

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