第78章 彼はダメだと疑う

部屋の静けさの中、聞こえるのはセントラル空調のかすかな稼働音だけだった。

菅田承吾はソファの脇に片膝をつき、広くて温かな掌で、少女の細い足首を包み込む。

長年、銃を握ってきた指先。薄い胼胝のある指腹が、強すぎず弱すぎず、彼女の三陰交のツボを正確に押し揉んでいた。

――こんな感覚は、初めてだ。

菅田家当主。生死を握り、何百億の契約にサインするための手が、いまは一人の女のために、慎重すぎるほど丁寧に動いている。

触れた肌は、きめ細かく、ひんやりとしていた。

承吾は伏せたまま視線を落とし、痛みに小さく丸まる足指を追う。胸の奥で、これまで知らなかった感情が、蔓のように静かに伸びていく。

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