第81章 嫉妬

「……これは、正気の沙汰じゃない。どれだけ金を積む気だ」

ハーバード大学入試事務局長の顔色が、みるみるうちに土気色へと染まった。口を開く。だが、喉の奥で言葉が詰まり、ひと言も出てこない。

ほかの名門校の責任者たちも同様だった。顔面は灰をかぶったように青ざめ、完全に戦意を喪失する。

――この条件に、どうやって張り合えというのか。

そのころ。

正門の外からみっともなく逃げ帰ってきた菅田美幸と菅田雨子は、玄関の彫り込み屏風の陰に身を潜め、リビングで交わされる会話を一言も漏らさず聞き取っていた。

「W市の不動産」という単語が耳に入った瞬間、菅田美幸の目がぎょろりと見開かれる。呼吸が荒くな...

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