第84章 拒絶

電話の向こうで、中島剛志が驚きのあまり車のシートから跳ね上がりそうになり、声が一気に裏返った。

「一緒にいるだと?! お前、メキシコで用事があるんじゃなかったのか! 試験を終えたばかりの小娘が、なんでそんな治安最悪の場所にいるんだ?!」

中島剛志の動揺は隠しようがない。カンクンがどんな街か、彼は嫌というほど知っている。世界でも指折りの無法地帯だ。

理系トップの、しかも箱入りみたいな子が観光で行く場所じゃない。冗談にもほどがある。

「中島さんが心配することじゃない。俺が守る」

菅田承吾は淡々と言い切り、追及を遮るように話を切った。

中島剛志も、菅田承吾の手腕は知っている。あいつが側...

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