第89章 スリリング

「主様、こ……これはさすがに!」

リンクスが下を指さし、声を震わせた。「あいつ、高濃度の神経興奮剤を打ってます。もう痛覚がない。素手でバイソンを裂けるほどの馬鹿力です! 菅田さんみたいな細い身体で、まともに一発もらったら――命がありません!」

リンクスは菅田承吾へ振り向き、焦りを隠さず伺いを立てる。

「外周の狙撃手を動かしますか? それとも常夜の連中を突っ込ませて制圧を? これ以上遅れたら、菅田さんに何かあったら――!」

菅田承吾はソファに腰を下ろしたまま、長い脚を組んだ姿勢すら崩さない。

手にした深紅のワイン。

その奥深い視線だけが、防弾ガラス越しにリングの菅田美波を捉え続けて...

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