第91章 闘技場の血洗い

ナイト・オウルは何も言わなかった。だが、激しく上下する胸が、内心の動揺を隠しきれていない。

あの頃――夜凰が跡形もなく消え、暗夜が瓦解し、俺たち残党は泥水をすすって生き延びた。

それなのに今、リングの上で薄い身体のまま無敵に立つその影を見ていると、ナイト・オウルの脳裏には、かつて自分たちを血路へ導いた「絶対的な信仰」が、ありありと蘇ってくる。

鉄格子の内側では、悲鳴が途切れない。

ほんの数分前まで息巻いていた五十人以上の精鋭が、いまや折り重なるように床へ転がっていた。

血の匂いがむっと立ちのぼり、オクタゴンは修羅の底へ変わる。

「――ぐっ!」

最後に残った毒蔦傭兵部隊の首領が、...

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