第93章 彼が後ろ盾になる

その、甘く濃密な空気が頂点に達しかけた瞬間――。

「コン、コン、コン」

不意に響いたノックが、室内の艶めいた気配を容赦なく断ち切った。

扉の外でリンクスが、どこか言いにくそうな顔をして報告する。

「主様。暗夜のナイト・オウルとドクロが、階下でお目通りを願っております」

菅田承吾の眼底に、邪魔をされた苛立ちが鋭く走った。

彼は上体を起こし、さきほどまで纏っていた危険な侵略性をすっと引っ込める。いつもの冷酷で深い貌へ戻り、淡々と言った。

「入れ」

重厚な木の扉が押し開けられる。

ナイト・オウルとドクロが、大股で執務室へ踏み込んできた。

ソファに菅田美波が無傷で座っている。しか...

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