第95章 掟を変える

菅田美波は男の前、二歩ほどの距離で足を止めた。見下ろす視線が、傷だらけでみっともなく崩れたその姿をなぞる。口調はひどく気だるい。

「情報なら回るの。人ひとり探すくらい、難しくないでしょ」

大貴が鼻で笑った。顔いっぱいに「信じるかよ」と書いてある。

「菅田さん。あんたが強いのは認める。今日、俺の命を拾ってくれたことも……感謝してる」

大貴は首を梗らせ、古い任侠者みたいな意地をむき出しにする。

「だがな、暗夜には暗夜の掟がある。この断崖は夜凰ボスを弔う聖地だ。いくらあんたが手を回せても、そう簡単に辿り着ける場所じゃねえ。どうやって見つけた?」

しつこい。根っこからの頑固者。

菅田美...

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