第97章 探り

螺旋階段を下りると、1階のリビングはしんと静まり返っていた。

菅田美波は大きな本革ソファに身体を沈め、スマホを片手に指先を忙しなく走らせている。

今日はゆったりした黒いパーカー。長い脚を気ままに抱え込む姿は、リングの上で見せる殺気を少しだけ薄め、年相応の気怠さを纏っていた。

菅田承吾は足音を殺し、背後へ回る。

長身の影がソファの後ろで止まった瞬間、彼の視線がふと、彼女の画面を掠めた。

真っ黒な暗号チャットの画面。相手のアイコンは、血に濡れた短刀。

やり取りは短い。だが内容は、複雑な暗語と座標が絡み合う、匂いの濃い情報ばかりだった。

菅田承吾の目がわずかに細くなる。普通のメッセー...

ログインして続きを読む