第98章 誘拐される

次の瞬間、車窓のガラスが乱暴に叩き割られた。

黒い目出し帽を被った完全武装の傭兵が十数人、幽霊みたいに押し寄せる。黒々とした銃口が、そのまま二人の頭に突きつけられた。

「――ぐっ!」

鈍い音。銃床が大貴の後頭部へ叩き込まれ、視界が墨を流したように暗転する。抵抗する間もなく、意識がぷつりと途切れた。

同じ頃、南地区中腹の豪邸。

菅田美波はソファに身を預け、目を閉じていた。だが次の瞬間、スマホが甲高く短い警告音を吐き出す。

ぱっと瞼が開く。清冽な瞳に、刃のような寒光が走った。

大貴専用の救難シグナル。

菅田美波は即座に上体を起こし、指先で画面を滑らせる。暗夜の内部追跡プログラムを...

ログインして続きを読む