第5章
カミラが振り向いた。
腕の中には、さっき低木から折り取ってきたばかりの白い薔薇をひと抱え。もう片方の手には、まだ湿った土がべっとりと付いている。
ドリアンの声が届いた瞬間、彼女の体がほんの一拍、硬直した。背後にいた傭兵たちは、黒松林の闇へと素早く溶け込む。
次の刹那、カミラはぱっと花が咲くような笑みを作り、怯えた子犬のように彼へ駆け寄った。わざと、彼の視線が林へ向かないように身を寄せる。
泥の付いた指先をそっとドリアンの胸に当て、ため息みたいに甘く囁く。
「ドリアン、どうして出てきたの? さっき、松林のふちにすごく綺麗な白い薔薇が咲いてるのを見つけたの……。棘のある蔓は夜...
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