第154章

夜の帳が下りると、会員制クラブ『黄昏』はネオンに染まり、酒器の触れ合う音が響き渡る。

ダンスフロアでは着飾った男女が身を寄せ合い、音楽の波に揺られていた。

その喧騒を切り裂くようにして、藤原時夜と夏川風は個室へと向かった。

個室のドアを開けると、直立するウェイターの他に、ソファに深々と腰掛けた男が二人と、女が一人。

女を抱き寄せている男は、夏川も見知った顔――足立卓夫だった。

だが、今日は麻生グループの麻生社長との会合のはずだ。なぜここに足立がいるのか?

その疑問を、藤原時夜が即座に口にする。

「何でお前がいる」

足立卓夫は胸を押さえ、大袈裟に傷ついた素振りを見せた。

「京...

ログインして続きを読む