第167章

高橋玲は部屋に戻るなり、泥のように眠りについた。

だが、その眠りは浅かった。彼女は常に夢現の状態を彷徨い、奇妙で不気味な夢を見た。夢の中で必死に自分の体を抓って目を覚まそうとするのだが、どうあがいても意識が浮上しない。

桜の柔らかな声が届いてようやく、高橋玲は悪夢の淵から引きずり出された。背中は冷や汗でびっしょりと濡れている。

顔色の悪い彼女を見て、桜が心配そうに覗き込んできた。

「お嬢様、大丈夫ですか? 怖い夢でもご覧になったのですか?」

高橋玲は首を横に振り、ベッドのヘッドボードに背を預けた。

「平気よ。それより、今何時?」

「もう夜の七時です。四時間も眠っておいででしたよ...

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