第175章

個室を出た高橋玲たちは、迷わずエレベーターホールへと足を向けた。

今回の交渉は大勝利に終わったというのに、彼女が纏う空気は酷く重苦しく、その表情は冷めきっている。

鈴木柊も彼女の機嫌が優れないことを察してはいたが、あえて言葉をかけることはせず、ただ無言でその横顔に寄り添うように歩いた。

軽やかな電子音と共に、エレベーターの扉が滑るように開く。

箱の中には、若い女の肩を抱き寄せた足立卓夫の姿があった。何か甘い言葉でも囁いたのか、女はコロコロと笑い声を上げている。

対して、高橋玲が引き連れている二人のボディガードが放つ威圧感は、決して無視できるものではない。

ふと顔を上げた足立卓夫と...

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